二胡の蛇皮の話あれこれ


二胡の"顔"と言っても過言ではないニシキヘビの皮の模様。
二胡に興味のある方なら既にご存知かと思いますが、ニシキヘビの全種は「ワシントン条約」で規制対象となっています。それは、たとえ二胡のように加工されたものであっても、輸出する国が発行する輸出許可証(CITES)を日本の税関に提出しなければ輸入できないようになっています。ワシントン条約によって持ち込みが制限されているというと「象牙」がすぐに思い浮かびますがニシキヘビ科もそうだったのです。

また二胡を海外に持ち出す場合にも、個数などの制限があるようです。「在瀋陽日本国総領事館在大連領事事務所」によると、本人の個人使用であれば問題ないようですが、常識的な範囲を超えた数になると許可されないようです。ちなみに以前は、1回1人2個まで、3個以上の場合はその公演会社の証明が必要なようで、更に5個以上となると輸出扱いと見なされていたようです。

ニシキヘビの皮と二胡の音

二胡に貼られているニシキヘビの皮は非常にデリケートです。二胡を弾かない時は弦を緩めるというのも、駒にかかった圧で皮が凹まないようにという理由もあります。

またニシキヘビの皮には寿命があります。大切に使っていても、いずれ皮は緩んでいき音の変化は避けられません。そして皮を張り替えれば、元の音(長年かけて育てた自分の音)に戻るかというと、そういうものでもないのです。それを知っている二胡の奏者は、そうなる前に今の二胡を大事にしつつも、その二胡に近い音を出す二胡を予め探しておくという二胡奏者もいるようです。そういうことからも皮は張り替えずに、二胡を買い換える(買い足す)というのが一般的だと聞きます。もちろん繰り返し皮を張り替えて使用する二胡奏者もいます。その辺りは二胡奏者による拘りであり、それが結果的にオリジナリティある音に反映されるのでしょうね。

養殖か野生か

二胡の蛇皮の「養殖・野生」問題についての話もよき聞きます。
その二胡の蛇皮を見てどちらか判断できるツワモノはいるのでしょうか?
ニシキヘビは前で記した通り「ワシントン条約」の規制対象となっていることを考えると、やはり多くは養殖なのではないかと予測します。もしかしたら政府非公認の怪しい人たちによって捕獲された野生のニシキヘビの皮が使われている二胡(しかも超絶良い音のでる絶品だったり)もあるのかな? なんていう妄想も駆け巡ります。

どちらにせよ二胡には蛇という生き物の命が使われている楽器です。長く大切に使っていきたいものです。そして蛇皮の見た目だけで判断せずに、必ずその音を自分の耳で確かめてから購入しましょう。